更新日:2025年12月14日 –
「奨学金って、本当に返していけるのかな…?」
「将来の負担が怖くて、申し込む決心がつかない…」
「大学に行きたい。でも奨学金が不安で、前に進めない。」
「返済の不安を“ゼロ”にできる選択肢ってあるの?」
「制度を知れば、奨学金は怖くない!」
大学進学を考えるとき、多くの人が一度はぶつかるのが「お金の不安」です。
「奨学金を借りても本当に返せるのかな…」
「将来の自分に負担を押しつけることにならないかな」
「返済できなくて迷惑をかけたらどうしよう」
そう考えてしまうのは、とても自然なことです。
むしろ不安になるということは、自分や家族の未来を真剣に考えている証拠です。
この記事では、公認心理師の立場から
「奨学金を借りるか迷う学生の不安を整理し、知らないことで損をしない」
という視点で、返済が不安な人ほど知っておくべき制度を5つ紹介します。
お金に関する不安は、情報がないと強くなり、情報があると和らぎます。
この記事が、今より少しでも安心して進路を選ぶ手助けになれば幸いです。
① 返還免除制度(成績優秀・業績優秀・教員志望者など)
意外と知られていませんが、奨学金には返済が免除される制度があります。
日本学生支援機構(JASSO)の第一種奨学金(無利子)では、大学院進学者や成績優秀者を対象に「全額または一部免除」が認められることがあります。
また、大学院生向けには「特別研究員制度」など、研究者を目指す学生は返済が不要になる場合もあります。
教員志望者についても自治体・大学独自の免除制度があるケースがあります。
不安で見落とされがちですが、「返済しなくていい可能性がある」という選択肢は確かに存在します。
「借りる=必ず大きな負担になる」と思っている人にとって、まず知っておきたい制度です。
② 返還猶予制度(最大15年間返済を止められる仕組み)
奨学金を借りた多くの人が支えられている制度が 返還猶予制度 です。
返還が厳しい理由がある場合(低収入・失業・病気・育児・介護など)、
申請すれば最長15年間返済を止めることが可能です。
返済を止めている間は、第一種奨学金(無利子)は利子がつきません。
第二種奨学金(有利子)でも利子の発生は最小限に抑えられます。
返済に行き詰まって人生を壊してしまうのではなく、
状況が落ち着くまで立て直す時間を確保できる制度です。
「返せなくなったらどうしよう」ではなく
「もし苦しい時期が来ても守ってくれる仕組みがある」と知ることは、不安の軽減につながります。
③ 所得連動返還型制度(収入に応じて返済額が変わる)
近年、返済の心理的負担を減らすために導入されたのが 所得連動返還型制度です。
簡単に言うと、
収入が低いときには返済額が下がり、収入が高いときに少し多く返すしくみです。
✔ 就職して年収が低いとき → 月の返済額は低くなる
✔ アルバイト生活・就職活動中 → 返済が大幅に抑えられる
✔ 給与が増えて生活に余裕ができたら → 返済を進める
この制度のメリットは、返済額を“自分で”決めなくてよい点です。
収入に応じて自動的に計算されるため、将来の見通しが立てやすくなります。
高校生・受験生の段階では
「返済の現実なんて想像できない…」
と感じるのが普通です。
だからこそ
返済額は収入に合わせて調整できる
という知識があるだけで、「もしダメだったらどうしよう」という不安は減ります。
④ 返済計画の再設定(返済期間の延長・月額調整)
返済が始まったあとにも、状況に合わせて返済計画を変更できます。
たとえば
- 月の返済額を下げる
- 返済期間を延ばす
- 一時的に返済を抑える
など、働き方の変化・生活環境の変化に応じて柔軟に調整できます。
「一度決めたら絶対に変更できない」と思っている人が多いのですが、それは誤解です。
奨学金は、人生の状況に合わせて調整できる“相談型の制度”です。
この柔軟さを知らないと
「結婚・出産・転職・病気になったら返せなくなるのでは…」
という漠然とした不安につながります。
⑤ 給付型奨学金(返済そのものが不要な制度)
最後は、返済が不要の給付型奨学金です。
家庭の収入状況・成績・進学先・専攻など条件はありますが、対象になる学生は確実に存在します。
特に近年は、国・自治体・大学・企業・財団による給付型奨学金が増えています。
「親の収入が低いから進学は難しい」と諦める前に、必ずチェックしたい制度です。
返さなくていいお金があるという選択肢は、進学の可能性を大きく広げます。
◆ それでも不安が消えないのは“弱いから”ではありません
制度を知っても不安が残る人は多いです。
それは「気持ちが弱いから」でも「考えすぎだから」でもありません。
進学・将来・お金というテーマは、人生に影響が大きいため不安になるのが普通です。
不安は「危険を避けようとする心のセンサー」です。
未来を大切に思っているからこそ、不安は生まれます。
大切なのは
「不安をなくすこと」ではなく
不安と付き合うための安心材料を増やすことです。
今回紹介した5つの制度は、まさにその安心材料のひとつです。
◆ まとめ:情報はあなたの未来の味方になる
奨学金を借りることは、未来への投資です。
もちろん返済は必要ですが、
・返済が免除される可能性がある
・収入に合わせて返済額を変えられる
・返済が厳しい時期には守ってもらえる
・返済不要の奨学金も存在する
と知っているだけで、未来の見通しは変わります。
進路選択は、人生の大きな分岐点です。
だからこそ、焦らず・ひとりで抱え込まず・正しい情報を味方につけてください。
この記事が、あなたの選択を支える一つの安心材料になれば嬉しく思います。
この記事を書いた人
桜庭ひまり(公認心理師)
進路・将来・奨学金やお金の不安など、10〜20代のこころの悩みに寄り添う心理コラムを執筆。