更新日:2025年12月8日 –
「夜になると急に不安が強くなる」
「布団に入ると、いろいろ考えてしまって眠れない」
「明日のこと、お金のこと、将来のことが頭から離れない」
こんな夜を、あなたは一人で耐えていませんか?
眠れないほどの不安は、
決してあなたの心が弱いからではありません。
不安と睡眠は、脳の働きの上でとても密接につながっています。
この記事では、
不安で眠れなくなる心理の仕組みと、
今夜からできる現実的な対処法を、
公認心理師の視点からやさしく解説します。
「早く寝ないといけないのに、余計に目が冴えてしまう…」
「考えなきゃいいのに、考えが止まらない…」
「このままずっと眠れなくなるのではと不安になる…」
不安になると、なぜ眠れなくなるのか?
人の脳は「危険を察知すると目を覚ます」ようにできています。
不安は、命を守るために備わった大切な感情です。
不安を感じると、脳の中では「扁桃体(へんとうたい)」という部位が活発になり、
交感神経(体を活動モードにする神経)が優位になります。
つまり不安は、
脳を「戦う・逃げるモード」に切り替えるスイッチなのです。
眠るためには副交感神経(リラックスモード)が必要ですが、
不安が強い状態では、
脳がずっと“警戒モード”のままになり、眠れなくなるのです。
夜になると不安が強くなる心理的理由
夜は、外からの刺激が減り、
自分の考えに意識が向きやすくなる時間帯です。
・人と話していない
・スマホを閉じた
・部屋が暗い
・音が少ない
こうした環境では、
日中は抑えていた不安や心配が一気に浮かび上がってきます。
さらに、
夜は疲労によって「思考を止める力」が弱まるため、
不安な考えが暴走しやすくなります。
その結果、
「最悪の未来」ばかりが頭に浮かび、
不安 → 緊張 → 不眠 → さらに不安
という悪循環が生まれてしまうのです。
考えすぎて眠れない人に共通する特徴
不安で眠れない人には、いくつかの共通する心理傾向があります。
責任感が強い
先のことを深く考える
失敗を避けようとする
人に迷惑をかけたくない
白黒はっきりさせたがる
これらは本来、とても「まじめで優しい性格」の特徴です。
しかし夜になると、その長所がそのまま“不安の材料”になってしまいます。
あなたは弱いのではなく、
「考える力が強すぎる状態」になっているだけなのです。
不安が続くと、睡眠にはどんな影響が出る?
不安による不眠が続くと、
次のような変化が起こりやすくなります。
寝つきが悪くなる
夜中に何度も目が覚める
眠りが浅く、夢を多く見る
朝起きても疲れが取れない
日中の集中力が下がる
さらに睡眠不足が続くと、
脳の「不安をコントロールする働き」そのものが弱くなり、
不安を感じやすい体質のような状態に一時的になってしまいます。
つまり、
「不安→不眠→さらに不安」
というループが、脳の中で強化されてしまうのです。
今夜からできる不安で眠れないときの対処法
①無理に寝ようとしない
「早く寝なきゃ」と思うほど脳は緊張します。
眠れないときは、いったん「起きたままでいい」と許可を出してあげてください。
②考えごとは紙に書き出す
頭の中にある不安は、外に出さないと膨らみ続けます。
寝る前に、心配ごとを紙に書き出すだけで、
脳は「整理できた」と認識し、少し落ち着きます。
③スマホは「考えスイッチ」になる
SNS・ニュース・動画は、
脳をさらに覚醒させてしまいます。
眠れない夜ほど、スマホを見ない工夫が大切です。
④深呼吸ではなくゆっくり吐く
息を「吸う」よりも、
「吐く」時間を長くすることで副交感神経が優位になります。
4秒吸って、8秒吐く。
これを3分続けるだけでも、脳の興奮は下がっていきます。
公認心理師のコメント
不安で眠れないとき、人は「早く正常に戻らなければ」と焦ります。
しかしその焦りが、さらに眠りを遠ざけてしまうことがとても多いのです。
眠れない夜が続いても、
「今は脳が警戒しているだけ」
と捉え、回復の余白を残してあげることが大切です。
不安も不眠も、
一時的に強くなっている“反応”であって、
一生続くものではありません。
それでも眠れない状態が続くときは
以下の状態が2週間以上続く場合は、
一人で抱えず、専門家に相談することも大切です。
眠れない日がほぼ毎日続く
日中の生活に支障が出ている
食欲・意欲が大きく落ちている
強い不安や動悸がある
心療内科・精神科・心理相談は、
「重症の人」だけが行く場所ではありません。
早めに頼るほど、回復は早くなります。
奨学金の不安と睡眠の関係
奨学金の返済や将来への不安が原因で、
夜に眠れなくなってしまう人も非常に多くいます。
制度の不安が強い方は、
奨学金特集ページもあわせてご覧ください。
心理面と制度面の両方から理解できます。
➡ 奨学金特集ページへ
まとめ
不安で眠れない夜は、
あなたの心が「守ろう」と必死に働いているサインです。
・不安は脳の警戒反応
・夜は不安が強まりやすい時間帯
・眠れないことで不安はさらに増幅する
・無理に寝ようとしないことが回復への近道
・早めに頼ることで、こころは楽になる
あなたが今感じている不安は、
きちんと理由があるものです。
そして、その不安は必ず“弱まる道”があります。
どうか今夜は、
「眠れなくても、自分を責めない」
そのことだけを大切にしてみてください。